読了の達成感を感じながらも、閉じてしまうことに未練を感じてしまった。もっと読みたいな。そんなエッセイ。
文庫本の狭い紙面に詰まる活字はやたら黒々として、これは大変な本だと思わせながら、その文体は軽妙で洒落がきいて、それでいて本当によく練られたネタが詰め込まれている。ありきたりな感想だけど、おもしろかった。
古今東西、食について書かれたエッセイであるが、必ずしもうまい話ばかりではない。
いや、うまいものはたくさん登場する、しかしそれを求める人間の狂気と言うほどの食欲に圧倒され、出るのはよだれじゃなくて、ため息だった。それほどに人の食欲は深くて、そこからわき出る執念はとどまることを知らない。
やれ、グルメだ。究極の味だ。そんな話のあさはかさ。所詮は日常から一歩飛び出してその足で戻るだけの食探求。そのかわいらしいこと。とりとめもないこと。
でも、冒険には出ないほうががいい。旨ければ人さえ食ってみたいというなら別だけど。
『最後の晩餐』
開高 健
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