■感想
どうしてこんなに旨そうなんだろう。
このままパン屋へ走りそうな勢いで読み進めてしまう。
味わって読んでも2時間かからないショートエッセー集でありながら、
写真の豊富なカフェ雑誌にも負けない情報量と、うんちくが詰まったパンの本である。
■パンと情景
主食は断固米という人も、懐かしくておいしい、時には切ないパンの思い出のひとつやふたつは思い起こす事ができないだろうか。
楽しみだった給食の揚げパン。中学のころ、あてもなく出かけた自転車旅で食べたスナックパン・・・
特別においしかったわけでもないのに、思い出すと心がすこし柔らかくなる、
不思議な記憶作用がパンにはあると思う。そんなことを考えた。
■厨房は頭の中にある
人の味覚には、舌で感じる味わいとは別に、記憶や想像力のうちにおいしさを
組み立てている一面があるのではないか。
読者の想像力という厨房で、食べ物を包み込む情景や、その時の気持ちを材料にして、「おいしさ」を作り上げることの巧みさ。
万年筆の料理人とでも呼ばせてもらいたい。
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