拒食症、過食症、うつ。これらの病理(病気の原因・過程に関する理論的な根拠)を、時代と人と食との関係から解き明かす。
■拒食・過食も流行だった
拒食症とは、「食べる」を否定しながら、「食う」攻撃性を発揮する病であると著者は説く。
人間同士が食べさせ、食べさせられる関係は仲間の交流性を意味し、食べることは、対象との一体化を示す。
恋人や家族に味わわされた絶望感によって起こった、他者との交流性や一体化を拒否したいという感情が「食」に翻訳された時、食べるを拒否、つまり拒食にいたるのだという。
また、絶望が怒りに転化し、それが「食」へ翻訳された時は「食う」という攻撃性に表れる。拒食症患者が残飯を漁ったり、隠し食いをしたり、他人に「食わせる」という行動をとる理由だというのである。
拒食症は、人との交流性や一体感を軽んじる現代の風潮が広まるのに歩調を合わせるように減少していったのであるが、入れ替わるように現れるのが、過食症と”うつ”であった。
詳細は本書を参照されたいが、時代によって変化する我々と食との関わりのなかでこれらの病理を捉まえていくあたりが興味深い。
なかでも「自分で自分をほめたい」というフレーズから"ふたりの自分"の存在を引き出し、過食症、うつの構造を分析する話には納得させられる。
■ちょっとくどい絵本の解説
あえて、言及しなかったが、この本の4分の1ほどは絵本の解説である。
食べることの交流性や一体化という言葉の定義の裏付けをするために、絵本に登場する「食」について詳細な考察がなされている。
絵本の解説としてその部分だけ読むならば、斬新で面白いと思う。
しかし、精神病理を解説する本書に付する参考資料としてはいささかボリューム過剰気味であり、読んでいるうちになにが問題だったのか忘れてしまうことがあった。
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