「産地廃棄」は、豊作や暖冬などで、供給が過剰になる野菜の価格暴落を防ぐ目的で行われる経済行為の一つだ。
私は、現状ならやむなしと考えるが、世間的には、もったいない、不道徳だという見方をする人もいるようだ。
私もできることなら有効に、誰も損せずに処分できればとは思う。たしかに廃棄するのは惜しいことだ。
しかし、だからといって、国民に安く配給するというアイデアは間違っているだろう。
単純に言って、通常の流通によって中間マージンを取っている業者の利益が失われる。その補填は誰が行うのだろうか。国庫で負担したところで、結局は消費者がその負担を負っていることに変わりはない。
簡単に考えて、廃棄しないで済む方法。それは、残さず食べ尽くすことだ。
季節のとれたて野菜を地産地消の精神で、毎日毎日、毎食毎食食べれば、
廃棄の量はずいぶんと減るだろう。
が、そんなことは私もしたくないし、誰もしたくないだろう。
国が貧しかった頃の農家なら"親のかたきのように"喰ったという話もあるが、今さら戻ることはできない。
いくら安くても毎日食べるのはイヤだ、という我々が思う限り、余るものは廃棄される。これはどうしようもないのだ。
農作物は、工業製品と違い、需要を予測して、価格の安定や在庫の調整を計ることは難しい。産地廃棄とは要するに在庫処分の事だが、決して売れる見込みのない作付けをした結果として、廃棄しているのではないのだ。
また、処分の仕方を考える前に、常に供給不足な状態を設定することができれば、廃棄を減らすことはできるだろう。
しかし、それによる価格の高騰を許容する覚悟が消費者にあるだろうか。
いや、それ以前に、価格が高騰することが分かれば誰もが作付けするので、すぐに供給不足の状態は解消してしまうだろうが。
産地廃棄が教育に悪い。と言う前に、自分たちの消費のあり方を考えてみるといいかもしれない。私には産地廃棄は必要悪に思える。
一方、動物園に、というのも一見良さそうだが問題もあるだろう。
もし、市民の自費で、畑から園まで適切に運ばれ、動物に与えられたとしたら、確かにエサ代の軽減にはなるだろうし、廃棄も減るだろう。
しかし、それまで与えられていたエサはどうなるのか。おそらく普段、動物たちは、市場でほとんど値の付かない、規格外のB級品を与えられているのではないか。
その代わりになるものが持ってこられたら、B級品の行き場が無くなってしまい、結局は廃棄されるのではないだろうか。
もしそうだとしたら、これはもったいなくはないのだろうか。
先日、近くのダチョウの牧場へ、子供を連れて見に行った。
ダチョウといっても趣味や、見せ物ではなく、家畜として飼われており、30人のオーナーによって共同で運営されているという。
なんの話かというと、そこのダチョウの柵に大量のキャベツが
エサとして積んであった。キャベツは産地廃棄の対象となるなっているが、これは余剰生産分の有効活用だろうか。
ダチョウは雑食で、エサが肉になる効率が、牛の4倍だという。
しかも、低脂肪で健康食として人気が出てきているらしい。
ダチョウ牧場は見たところ、柵以外にたいした設備もなく、空き地に柵と管理小屋と水さえあれば飼えそうな様子だった。
折しも食糧自給率の向上が叫ばれる中、輸入飼料に頼る牛肉生産を、
余剰農産物を利用してのダチョウ飼育にシフトできれば、食文化的にも
面白い展開が起こりそうだ。
まずはダチョウ肉とやらを食べてみたい。

ニュースソースは続きから・・・
農林水産省は6日、野菜の豊作に伴う値崩れを防ぐために1972年から実施してきた「産地廃棄」を見直すため、第三者でつくる検討委員会を設立する方針を明らかにした。
新鮮な白菜やキャベツなどをトラクターでつぶして畑の肥料にする廃棄処分の実態に対し、消費者から「もったいない」「教育に悪い」との声が高まっているためだ。
産地廃棄は緊急需給調整策の一つで、キャベツ、大根、白菜など6品目が対象となる。卸売価格が過去9年間の市場平均価格の7割以下に下がると、出荷を見送るように要請し、生産コストの一部を補てんする。
昨年は11〜12月に好天の影響でキャベツと白菜などが豊作になった。全国で2万2000トンが廃棄され、国と生産者が折半出資した基金からの助成金は5億円にのぼる。一方、農水省が受けた電話や電子メールの苦情や意見は「130件を超える」(野菜課)という。
計画では、今年度内に検討委員会で具体策を検討する。「廃棄せず国民に安く提供する」「動物園に寄付する」などの案が浮上しているが、価格による需給調整の枠組みが崩れる恐れがあるうえ、輸送費など一定のコストが発生するのは避けられない。農水省は財政負担を増やさない考えで、協議は難航も予想される。
(2007年2月7日0時31分 読売新聞)
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