大森 森介
農業で生きるとは、どういうことか。ということをテーマに、少しずつ本を読み始めている。
労働の主体性を獲得するにはどうすればよいのか。ということを、私はときどき考えるが、食べることが好きな性分のせいか、今は農業にその実現を夢見ている。(夢は目標とは違うのだが)
最初のテーマを具体的に言い換えるならば、
農業によって、労働の主体性を獲得するとは、どのように働くことか。
ということ。
どんな時間配分で、どんな暮らしをしたいか。または得られる収入の範囲でどんな生活が可能なのか。
単に賃金の多寡で計ることのできない、暮らしの充実感や自分なりの幸せをデザインすること。
労働に主体性があるとは、そのデザインを自ら描き、実現可能な設計図に起こすということだろう。
私は農業に甘いあこがれを思い描いてはいるが、それは、農業がゆったりぐらしを実現させると考えているからではない。
本のタイトルに"ゆったり"とは謳っているが、農業そのものがゆったりなのではないだろう。
本書に取り上げられている様々な「農家」の事例を見ても、やはり一事業者としての成功には、努力と情熱、ビジョンそしてアイデアがある。
漠然とした牧歌的あこがれを打ち破り、本当の農業ぐらしをデザインする方向性を定めていくための良い事例となる。
また、目標や、願望だけでは絵に描いた餅だ。現実としての農業には、体力資本だけでなく、「開業」にはまとまった資金や様々なノウハウ、法制度のクリアが必要となる。その辺りの記述も充実している。
実際に体を使わずに、頭でっかちに農業を知った気になることは戒めなければならない。しかし、有利なスタートダッシュのためにイメージトレーニングが欠かせないという意味では、就農を目指す手始めに読む本としては良くできている。
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