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非@食べ歩き

食の本~感想・記録・書評みたいなこと。食のニュース批評・食文化の研究を通して食事力を鍛えてます
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『実践講座・台所の美味学』江原 恵

 ・料理本であり文化論である

 ありふれた食材で毎日の食卓を豊かにしたいというのがテーマである。

 一見同じように見えて、その中身は昔と比べてずいぶんと変わってしまった料理や、食材がある。 それは、われわれの生活、つまり暮らしの成り立ちが変わったことで、料理の成り立ちが変化してしまったからだ。

 料理や手に入る食材は、その時代のわれわれの暮らしや社会の求めに応じて、常に変化している。 昔のままでないものを昔のまま処理することは間違いである。 

 現代では通用しなくなった調理作法の定石を打ち破り、われわれの時代、われわれの社会にある、ありふれた、いまの食材にふさわしい料理を考えることで、毎日の食卓は豊かに豊かになるのだ。


 ・自分らしい食べ方の技術が必要

われわれの食卓の豊かさが、伝統的な料理屋料理の文化によってもたらされることはない。 贅沢はできないし、包丁技術や設備も料理屋とはまったく違うからだ。 

 料理屋料理の文化とは、美食家の食通談義の中でのお楽しみとして存在している。 それは、素材の善し悪しが料理のおいしさを決するという料理文化が、いうなればカネによって質の左右される文化であるからだ。

 質の良くないもの、鮮度の落ちたもの、あるいは冷凍食品や、即席麺といったものを使う場合でも、どうすればおいしく食べられるかを考えることは、カネに左右されずに生活の質を高めていくことである。 

そのどうすればの部分が、食べ方の技術であり、それを磨き、自分の美味学をもつことができれば、自分らしい食生活、また暮らしの文化の質を高めることになるのではないだろうか。


 ・本書について

 本の題名に「実践講座」とあるように、ページの半分はレシピである。しかもカラー写真と手もとの詳細まで撮した豊富な図版が多く、とても親切な料理本である。

 あとの半分は各料理や食材ごとのエッセイとなっている。
この評で書いていることは、この部分の感想である。

 なにも知らずに本を開けば普通の料理本に見えるが、このエッセイの部分は決しておまけではない。というよりも、このエッセイに込められた主張を、料理として実践して見せている点がこの本の要である。

ここまで深い料理本が他にあろうかという思い。
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